Anthropic史上初2兆ドルIPOへ、AIに殺されるはずのSaaS株復活、NVIDIA好決算でも売られるメモリ株(金融日記 Weekly 2026/8/21-2026/8/28)
公開日: 2026年8月30日 X
| TOPIX: | 4146.71, | +2.0% (1w), | +21.0% (YTD) |
| Nikkei225: | 66405.56, | +0.6% (1w), | +31.1% (YTD) |
| S&P500: | 7711.76, | +0.5% (1w), | +12.7% (YTD) |
| USD/JPY: | 160.04, | +0.7% (1w), | +2.3% (YTD) |
| EUR/JPY: | 185.43, | -0.1% (1w), | +0.9% (YTD) |
| Oil(WTI Futures): | 83.40, | -4.2% (1w), | +45.2% (YTD) |
先週(8月21日-28日)の株式市場は、指数こそ小動きだったが、セクターローテーションが起きた。TOPIXは週間で2.0%、日経平均は0.6%、S&P500は0.5%上昇した。一方、AI半導体株はNVIDIA(+1.3%)を除けば、Broadcom(-6.2%)、AMD(-1.6%)、Micron(-3.5%)、ASML(-3.8%)などが軟調で、日本でもキオクシア(-11.8%)が大きく売られた。ドル円は160円台へ再び円安が進み、WTI原油先物は4.2%下落した。週末にはウォーシュFRB議長のタカ派的な発言を受けて米短期金利とドルが上昇し、株価の上値を抑えた。
代わりに買われたのが、「AIに殺される」と言われてきたSaaS株である。Salesforceは好決算を受けて週間22.4%高となり、CrowdStrikeも決算後に約21%、Oktaは約29%急騰した。Salesforceは売上が11%増えただけでなく、将来売上の先行指標であるcRPO(Current Remaining Performance Obligation:現在の残存履行義務)が14%増となった。生成AIが既存SaaSを破壊するという単純なストーリーとは逆に、顧客データ、業務フロー、販売網を握っている既存SaaS企業は、AIを新たな高付加価値商品として売り始めている。
そして、メモリ株を中心に株価は冴えないが、AI半導体のファンダメンタルズはまったく崩れていない。NVIDIAのQ2売上高は前年同期比106%増の962億ドル、粗利益率も75%を維持した。さらに2028年1月期の売上高が約70%成長するとの見通しを示した。ジェンスン・フアンCEOは需要がなお加速しており、むしろメモリを中心とする部材不足で供給が制約されていると説明している。SK hynixのノ・ジョンウォンCEOも、メモリ半導体の供給不足は2030年まで続き、需要が減ずる兆候は見えないと述べた。
NVIDIA自身が「需要が強すぎて供給できない」と言い、SK hynixも2030年まで供給不足だと言い、Microsoft、Alphabet、Meta、Amazonは揃ってAI設備投資を増額している。それでもMicronやキオクシアが売られているのだから、市場はよほどメモリサイクルのピークアウトを信じたいらしい。筆者には、株価と実体経済のどちらを信じるべきかはかなり明白に思える。AI半導体、とりわけメモリ株への強気の見方はまったく変わらない。
そして、OpenAIと並びAI革命の本丸がいよいよ上場である。Claudeを開発するAnthropicが、早ければ今秋にも上場し、2兆ドル以上の時価総額で1000億ドル規模を調達する史上最大のIPOを準備している。Anthropicの年率換算売上高は昨年末の約90億ドルから7月末には650億ドル超へ膨らみ、投資家は年末には1000億-1200億ドルに達すると見込んでいる。もちろん、これは直近の売上を年率換算したランレートであり実績ではないが、それでも異常な成長速度だ。
1000億ドルもの新株を市場が吸収するには、当然どこかから現金を持ってこなければならない。Anthropicという新しい「純粋AI銘柄」を買うため、これまで大きく上昇してきたAI半導体株をいったん売って現金化する投資家が出るのは自然である。足元のメモリ株の弱さには、ファンダメンタルズではなく、この種の巨大IPOを前にしたポートフォリオの組み替えも混じっているのかもしれない。
今週のマクロ経済指標は、4日の米8月雇用統計に注目が集まる。Reuters調査では雇用者数は約5万8000人増、失業率4.1%が予想されている。弱すぎれば景気後退懸念、強すぎればウォーシュFRBの追加利上げ観測を高めることになる。また、2日にはBroadcomのQ3決算があり、NVIDIAに続いてAI向けカスタムASICとネットワーク需要の強さを確認することになろう。1日にはAIサーバー企業となったDellの決算もある。AI需要が依然として極めて強いことが確認されることになろう。
●FRB議長のタカ派姿勢、ジャクソンホール会議で鮮明に
https://jp.wsj.com/articles/kevin-warsh-the-hawk-at-jackson-hole-72a70f15
●AIに殺されるはずのSaaS株が急騰!CRM・OKTA・CRWDの好決算は「終焉論」を覆すのか?
https://www.moomoo.com/ja/community/feed/saas-stocks-once-slated-to-be-wiped-out-by-ai-117166681751558
●米セールスフォース、通期見通し上方修正 アンソロピックと提携拡大
https://jp.reuters.com/economy/KFHJMCJ4RVNMVIRHJKLNFC56JY-2026-08-26/
●ハイニックスCEO「2030年まで半導体供給不足は続く…景気後退の兆候はない」
https://www.mk.co.kr/jp/business/12139160
●アンソロピック、史上初2兆ドルIPO最終段階 ミュトス生んだAI開発力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN220SA0S6A820C2000000/
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米個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/08/21-2026/08/28)

出所: Google Finance, Yahoo!Finance
香港個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/08/21-2026/08/28)

出所: Google Finance, Yahoo!Finance
日本個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/08/21-2026/08/28)

出所: 会社四季報、Yahoo!ファイナンス
直近1年の日経平均株価とインプライド・ボラティリティの推移

出所: 日経新聞社
直近1年のドル円とユーロ円の推移

出所: セントラル短資
イールドカーブ (2026/08/28)

出所: Bloomberg.com
主要通貨の週間パフォーマンス (2026/08/21-2026/08/28)

出所: セントラル短資
直近1年のS&P500種指数と原油価格の推移

出所: Yahoo!ファイナンス、Bloomberg.com
地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD] (2026/08/21-2026/08/28)
![地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD]](charts/Chart20260829_WrdEquity.png)
出所: iShares, Bloomberg.com
今週のマーケット・イベント
8月31日(月)
日7月鉱工業生産指数
日7月商業動態統計
日7月住宅着工統計
中国8月製造業PMI
G7・G20財務大臣・中央銀行総裁会議(米ノースカロライナ州、-9/1)
休場:英(サマー・バンクホリデー)
9月1日(火)
日4-6月期法人企業統計
日8月新車販売台数
日8月軽自動車新車販売台数
日10年国債入札
米8月ISM製造業景気指数
米7月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
米7月建設支出
中国8月RatingDog製造業購買担当者景気指数(PMI)
決算:Dell、他
9月2日(水)
日8月マネタリーベース
米8月ADP雇用統計
米7月製造業受注
米ベージュブック
決算:Broadcom、他
9月3日(木)
日30年国債入札
米7月貿易収支
米8月ISM非製造業指数
9月4日(金)
日7月家計調査
米8月雇用統計
9月5日(土)
9月6日(日)