金融日記


米財務省の国債買い戻しでドル安・円高、ビットコイン暴騰、NVIDIA決算に注目!(金融日記 Weekly 2026/8/14-2026/8/21)

公開日: 2026年8月23日 X


TOPIX: 4067.29, -3.1% (1w), +18.7% (YTD)
S&P500: 7674.37, -1.4% (1w), +12.1% (YTD)
USD/JPY: 158.94, -0.3% (1w), +1.6% (YTD)
EUR/JPY: 185.68, +0.7% (1w), +1.1% (YTD)
Oil(WTI Futures): 87.06, +5.7% (1w), +51.6% (YTD)

 先週(8月14日-21日)の株式市場は、AI半導体の個別材料よりも、米国の長期金利と中東情勢に振り回された一週間となった。TOPIXは週間で3.1%、S&P500は1.4%下落し、Nasdaqも2.1%安となった。ホルムズ海峡を巡る緊張が続くなか、WTI原油先物は5.7%上昇して87ドル台となり、原油高と長期金利上昇が株式市場の重石となった。AI半導体株もNVIDIA(-4.6%)、Broadcom(-6.2%)、AMD(-8.0%)、ASML(-4.4%)と軟調だったが、業績悪化というより高PER株のバリュエーション調整という色彩が強い。一方、医薬品株は逆行高となり、ModernaはMerckと共同開発する個別化mRNAがんワクチンがメラノーマの第3相試験で良好な結果を示し、株価が一時177%高と暴騰した。今回の成功そのものはAI創薬ではないが、今後AIが標的探索、分子設計、患者選別など製薬R&Dの生産性を飛躍的に高めれば、バイオ・製薬もAI革命の大きな受益産業になっていくだろう。
 市場を大きく揺らしたのが、ベッセント米財務長官による突然の国債買い戻し拡大である。米30年国債利回りが5.34%と2007年以来の高水準まで上昇した直後、財務省は10-30年の長期国債について、1回当たりの買い戻し上限を従来の20億ドルから少なくとも40億ドルへ倍増すると発表した。発表を受けて長期金利は急低下し、ドルは全面安となった。これはFRBの量的緩和とは異なり、財務省が新たに通貨を発行するわけではない。しかし、市場が驚いたのは金額そのものではなく、「長期金利が上がりすぎれば政府が介入する」というシグナルである。先日の円買い協調介入に続き、今度は米国債市場にも直接手を突っ込んできたことで、トランプ政権は高金利とドル高をかなり嫌っている、との見方が強まった。
 そして、この「ドルの価値を薄める政策」への反応として派手に買われたのが金とビットコインだった。ビットコインは週間で約20%も急騰した。国債買い戻しが暗号資産市場へドルを直接注入したわけではないが、「巨額財政赤字を抱える米政府は長期金利上昇に耐えられず、最終的にはドル安を選好するのではないか」という通貨価値希薄化のストーリーと、発行上限が2100万枚に固定されたビットコインは非常に相性がいい。ショートポジションの強制決済も加わり、上昇が増幅された。ドル円も158円台まで円高となった。
 今週最大のイベントは、何といっても26日のNVIDIA決算である。前四半期の売上高は前年同期比85%増の816億ドル、データセンター部門は92%増の752億ドルだった。会社は今回Q2について売上高910億ドル±2%、Non-GAAP粗利益率75%をガイダンスしており、この数字には中国向けデータセンターGPU売上をまったく織り込んでいない。市場予想は売上高約920億ドル、EPS2.09ドルで、調整後EPSは前年同期比でほぼ倍増する見通しである。これほど巨大になった企業がなおこの速度で成長していること自体が驚異的である。
 決算で見るべきポイントは、数十億ドル程度の上振れそのものではない。Vera Rubinの量産立ち上げが予定通り進んでいるか、HBMなどメモリ価格の高騰を吸収しながら75%前後の粗利益率を維持できるか、米政府が輸出を認可したH200の中国向け出荷がどこまで上振れ要因になるか、そしてApollo、BlackRock、Blackstone、Goldman Sachs、KKRなどと組んだ5000億ドル超のAIインフラ金融プラットフォームが、顧客の資金制約をどこまで取り除くかに注目したい。こうした金融面での関与を「循環取引」と批判する論調もあるが、高価でキャッシュフローを生む設備に金融を付けて市場を拡大すること自体は、自動車ローンや航空機リースと同じく特別な話ではない。Microsoft、Alphabet、Amazon、Metaが設備投資をさらに増やし、計算能力の供給不足を訴えている現状を見る限り、NVIDIAの需要が急停止する兆候はほとんど見当たらない。筆者は引き続き、AIブームの王者NVIDIAに極めて強気である。
 NVIDIA決算以外では、26日に米4-6月期GDP改定値、7月PCE、個人所得・個人消費など重要なマクロ指標が発表される。そして27-29日にはジャクソンホール会議があり、ウォーシュFRB議長が議長就任後初めて登壇する。米財務省が長期金利上昇を抑えに動いた直後だけに、FRBがインフレと金利をどう評価するかは極めて重要である。NVIDIAがAI投資の加速を再確認し、PCEが落ち着き、ウォーシュ議長が追加利上げに慎重な姿勢を示せば、今回の株価調整は再び絶好の押し目だったということになりそうだ。

●モデルナ株177%高、空売り勢8700億円含み損 メラノーマ治験「勝利」
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-08-20/TK1FDBT96OSK00

●米欧の長期金利が急低下、買い入れ奏功 ドル全面安で円158円台前半
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN19B710Z10C26A8000000/

●米財務省の国債買い入れ、マーケット想定外 「政権の金利警戒強い」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN19BII0Z10C26A8000000/

●米国債買い入れ拡大でドル先安観、「急場しのぎ」 ツイストオペほうふつとの声
https://jp.reuters.com/opinion/N6VZLYRQURL6NNI3J7QSTZVAOU-2026-08-21/

●米トランプ政権が国債の買い戻し額を拡大:日米協調介入に続く市場介入、日本の政策への介入も強めるか
https://www.nri.com/jp/media/column/kiuchi/20260821_2.html

●ビットコイン急騰、一時7.7%高 トランプ氏と業界幹部の会合控え
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-08-19/TK0Y51T96OSM00

●メタプラネットCEO、ビットコイン急騰の要因は「暗号資産ニュースではなく米財務省の流動性拡大」と指摘
https://finance.biggo.jp/news/4bd927a2-7245-450d-959b-ca93999a8e72

●NVIDIAが26日決算、売上高「倍増」に死角あるか 金融連携も焦点
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN191ZJ0Z10C26A8000000/

●エヌビディア、AI需要を自ら押し上げる成長戦略 巨額投資に潜む死角
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-08-20/TK0O7FKIJH8K00

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米個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/08/14-2026/08/21)

米個別銘柄の週間パフォーマンス

出所: Google Finance, Yahoo!Finance

香港個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/08/14-2026/08/21)

香港個別銘柄の週間パフォーマンス

出所: Google Finance, Yahoo!Finance

日本個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/08/14-2026/08/21)

日本個別銘柄の週間パフォーマンス

出所: 会社四季報、Yahoo!ファイナンス

直近1年の日経平均株価とインプライド・ボラティリティの推移

直近1年の日経平均株価とインプライド・ボラティリティの推移

出所: 日経新聞社

直近1年のドル円とユーロ円の推移

直近1年のドル円とユーロ円の推移

出所: セントラル短資

イールドカーブ (2026/08/21)

イールドカーブ

出所: Bloomberg.com

主要通貨の週間パフォーマンス (2026/08/14-2026/08/21)

主要通貨の週間パフォーマンス

出所: セントラル短資

直近1年のS&P500種指数と原油価格の推移

直近1年のS&P500種指数と原油価格の推移

出所: Yahoo!ファイナンス、Bloomberg.com

地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD] (2026/08/14-2026/08/21)

地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD]

出所: iShares, Bloomberg.com

今週のマーケット・イベント

8月24日(月)
米7月シカゴ連銀全米活動指数

8月25日(火)
日7月百貨店売上高
米6月ケース・シラー米住宅価格指数
米7月新築住宅販売件数
米8月消費者信頼感指数
米2年国債入札
独8月Ifo景況感指数

8月26日(水)
日7月企業向けサービス価格指数
米4-6月期GDP(改定値)
米7月耐久財受注
米7月個人所得
米7月個人消費支出(PCE)
米5年国債入札
決算:NVIDIA、他

8月27日(木)
ジャクソンホール会議(米国ワイオミング州、-8/29)
米7年国債入札

8月28日(金)
日7月完全失業率
日7月有効求人倍率
日8月東京都区部消費者物価指数(CPI)
日2年国債入札

8月29日(土)

8月30日(日)

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