AI株反発、米雇用減が市場を下支え、欧州猛暑で中国エアコン爆売れ(金融日記 Weekly 2026/7/31-2026/8/7)
公開日: 2026年8月9日 X
| TOPIX: | 4074.93, | +1.8% (1w), | +18.9% (YTD) |
| Nikkei225: | 65606.71, | +1.9% (1w), | +30.3% (YTD) |
| S&P500: | 7757.64, | +3.6% (1w), | +13.3% (YTD) |
| USD/JPY: | 157.74, | -1.5% (1w), | +0.9% (YTD) |
| EUR/JPY: | 182.38, | +0.5% (1w), | -0.7% (YTD) |
| Oil(WTI Futures): | 78.18, | -7.7% (1w), | +36.2% (YTD) |
先週(7月31日-8月7日)の株式市場は、7月後半のAI関連株の激しいポジション調整から一転し、米国株を中心に大きく反発した。S&P500は週間で3.6%上昇して過去最高値を更新し、Nasdaqも5.2%高となった。日本株もTOPIXが1.8%、日経平均が1.9%上昇した。個別ではNVIDIA(+11.6%)、Broadcom(+9.9%)、Microsoft(+7.6%)、Micron(+6.6%)など、前週まで叩き売られていたAI関連株に強い買い戻しが入った。一方、ドル円は157円台まで円高が進み、WTI原油先物は週間で7.7%下落した。トランプ大統領がイランへの追加攻撃を見送り、ホルムズ海峡を巡る外交進展への期待が高まったこともリスク資産を支えた。
もっとも、AI関連企業の決算に対する市場の要求水準は依然として異常に高い。AMDはQ2売上高が前年同期比50%増の115億ドルと過去最高を更新し、データセンター部門は107%増の67億ドルとなった。Q3売上高も約130億ドルと市場予想を上回る見通しを示したが、決算直後には株価が9%近く売られた。業績が悪いのではなく、このバリュエーションでは「ものすごく良い」程度では足りないのである。
キオクシアとはJVなどで兄弟企業とも言えるNAND大手Sandiskの決算はさらに凄まじかった。売上高は前四半期比51%増の89.7億ドル、粗利益率は84.6%、データセンター向け売上高は前四半期比で倍増した。次四半期も売上高103億-108億ドルを見込んでいる。それでも株価は見通しが市場の過熱した期待を十分に上回らなかったとして売られた。SpaceXも上場後初の決算で売上高が前年同期の41億ドルから78億ドルへほぼ倍増し、AI事業の売上高は約3.5倍となったが、AIインフラだけで158億ドル、全社では180億ドルを超える四半期設備投資が嫌気され、決算翌日に株価は約14%下落した。しかし、経営陣によれば、新規AI計算設備の投資回収期間は1年未満で、Q2終了後にも67億ドルのクラウド契約を新たに獲得している。
現実のAIデータセンター投資は、株価の乱高下とは無関係に世界中で加速している。日本でも今週、秋田市に最大500MW、日本最大級となるAIデータセンターを建設し、UAEなどから投資を呼び込む計画が報じられた。整備費は2兆円規模で、2030年代早期の稼働を目指すという。もちろん現時点では投資額が確定したプロジェクトではないが、東京や大阪ではなく、電力と土地を確保できる秋田にまで2兆円規模のAIインフラ計画が出てくること自体が、世界的な計算資源争奪戦の規模を物語っている。筆者は引き続き、メモリを含むAI半導体とAIデータセンター投資の長期トレンドには極めて強気である。
もうひとつ筆者が昨年から注目している長期テーマが地球温暖化とエアコンである。今年も欧州は激しい熱波に襲われ、中国・美的集団の工事不要型エアコン「PortaSplit」が爆発的に売れている。2026年初めから6月下旬までに20万台を出荷し、すでに2025年通年の約2倍に達したうえ、6月以降だけでさらに16万台の注文が入ったという。主要都市の多くが北海道より高い緯度に位置する欧州では、これまでエアコン普及率が低かっただけに、気温上昇によって贅沢品が生活必需品へ変われば、市場そのものが構造的に拡大する。
そして、先週の株高を最後にもう一段押し上げたのが米雇用統計だった。7月の非農業部門雇用者数は市場予想の8万人増に対し、まさかの2万3000人減となり、5月、6月分も合計10万3000人下方修正された。失業率は4.1%へ低下したが、これは26万人余りが労働市場から退出した影響が大きい。アメリカの雇用については、現在の株式市場にとっては典型的な「Bad News is Good News」である。市場が恐れているのはFRBによる利上げだからだ。雇用悪化を好感して、S&P500は最高値を更新した。
今週は、マクロ経済指標は12日の米7月CPI、13日のPPIがある。弱い雇用統計に続いてインフレまで落ち着けば、FRBの追加利上げ懸念はさらに後退するが、逆にCPIが上振れれば「雇用は弱いのにインフレは高い」という厄介な状況になる。12日にはTencentと鴻海精密工業(Foxconn)、13日にはApplied Materialsの決算がある。AIへの力強い投資継続、AIデータセンターや半導体製造装置への引き続き強い需要が確認されることはほぼ確定しているが、市場がそれよりもさらに期待しているかどうかである。
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https://x.com/kazu_fujisawa/status/2075118477493592406
●AMD 2026 Q2 決算 エージェントAIは高いP/Eを正当化できるか(Xサブスク)
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2083456932262895987
●Sandisk 2026 Q4決算 キオクシアJVとHBF、二正面作戦の行方(Xサブスク)
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2084182340868374564
●SpaceX 2026 Q2 巨額CapExとロックアップの狭間で(Xサブスク)
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●協調介入、避けたかった米国債売却の悪夢 「友情」に透けるリアリズム
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN03AED0T00C26A8000000/
●秋田に日本最大級AIデータセンター 建設費2兆円、UAEが投資へ 30年代早期
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO98029560X00C26A8MM8000/
●米7月雇用は予想外の2.3万人減、過去分も下方改定 失業率4.1%に低下
https://jp.reuters.com/markets/japan/3PP4YUXOBVIPHJMNLE7CFG54HQ-2026-08-07/
●想定外の米雇用減、FRB利上げ論に水 インフレリスクと板挟みに
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07BNY0X00C26A8000000/
●週刊金融日記 第692号 迫り来る気候変動で儲かる企業、他
https://www.kinyuunikki.com/newsletter/Vol692-20250819-AirConStocksHotterPlanet.html
●美的の移動式エアコン、欧州で大ヒット 現地の住宅事情捉え出荷2倍
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM05BVF0V00C26A8000000/
米個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/07/31-2026/08/07)

出所: Google Finance, Yahoo!Finance
香港個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/07/31-2026/08/07)

出所: Google Finance, Yahoo!Finance
日本個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/07/31-2026/08/07)

出所: 会社四季報、Yahoo!ファイナンス
直近1年の日経平均株価とインプライド・ボラティリティの推移

出所: 日経新聞社
直近1年のドル円とユーロ円の推移

出所: セントラル短資
イールドカーブ (2026/08/07)

出所: Bloomberg.com
主要通貨の週間パフォーマンス (2026/07/31-2026/08/07)

出所: セントラル短資
直近1年のS&P500種指数と原油価格の推移

出所: Yahoo!ファイナンス、Bloomberg.com
地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD] (2026/07/31-2026/08/07)
![地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD]](charts/Chart20260808_WrdEquity.png)
出所: iShares, Bloomberg.com
今週のマーケット・イベント
8月10日(月)
日銀金融政策決定会合の主な意見(7/30-31開催分)
日6月国際収支(8:50)
日7月景気ウォッチャー調査
決算:住友鉱、楽天、サンリオ、ソニーFG、スクエニ、東映、他
8月11日(火)
米7月中古住宅販売件数
米3年国債入札
休場:日本(山の日)
8月12日(水)
日7月マネーストック
日7月工作機械受注
米7月消費者物価指数(CPI)
米7月財政収支
米10年国債入札
決算:東京海上、Tencent、鴻海精密工業、他
8月13日(木)
日7月企業物価指数
米7月生産者物価指数(PPI)
米30年国債入札
決算:Applied Materials、他
8月14日(金)
米7月小売売上高
米6月企業在庫
決算:MS&AD、SOMPO、アシックス、GMO、他
8月15日(土)
8月16日(日)