金融日記


日本のAIツルハシ株は調整局面もAIバブルはまだ中腹、SKハイニックスADRの米市場好発進が示す強固なメモリ半導体需要(金融日記 Weekly 2026/7/3-2026/7/10)

公開日: 2026年7月12日 X


TOPIX: 4036.08, -0.7% (1w), +17.8% (YTD)
Nikkei225: 68557.73, -1.7% (1w), +36.2% (YTD)
S&P500: 7575.39, +1.2% (1w), +10.7% (YTD)
USD/JPY: 161.67, +0.2% (1w), +3.4% (YTD)
EUR/JPY: 184.55, +0.0% (1w), +0.5% (YTD)
Oil(WTI Futures): 71.41, +3.8% (1w), +24.4% (YTD)

 先週(7月3日-10日)の株式市場は、日米で対照的な動きとなった。米国株(S&P500)は週間で1.2%上昇して最高値圏を堅調に推移した一方で、日経平均株価は週間で1.7%下落し、一時は6万7000円台割れに迫るなど上値の重い展開となった。米国市場では前週に売り込まれたMeta(+14.8%)やNVIDIA(+8.3%)などの巨大テック企業が強烈に買い戻されたが、日本の株式市場では、これまで相場を一直線に牽引してきた「AIツルハシ銘柄」の利益確定を急ぐ調整局面が依然として継続した。村田製作所が週間で11.0%下落したのを筆頭に、TDK(-8.4%)やキオクシア(-7.6%)といったAIの恩恵を強く受けるハードウェア企業群が軒並み売り込まれ、日経平均の大きな重石となった。また、長らく低迷していた香港市場では、時価総額トップのアリババがAIクラウド事業への期待から週間で17.1%も急反発し、時価総額2兆香港ドルを回復して市場のセンチメントを明るくした。
 マクロ環境に目を向けると、ペルシャ湾ではイラン革命防衛隊によるホルムズ海峡の封鎖宣言や米軍の空爆など、再び不穏な火種がくすぶっている。しかし株式市場は「またいつものことか」と冷淡そのもので、地政学リスクを完全にスルーしているようだ。
  そして、AIツルハシ相場の行方を占う上で歴史的イベントとなったのが、AI向けHBM(広帯域メモリー)の世界的巨頭である韓国のSKハイニックスのナスダック市場への上場である。10日金曜日にADRとして上場を果たしたが、調達額は最大280億ドル(約4.5兆円)規模に達し、外国企業としては史上最大級のIPOとなった。市場の注目が集まるなか、初値は公募価格の149ドルを14%も上回る水準で力強くスタートし、ウォール街のAI熱狂が一時的なブームではないことを証明してみせた。さらに郭魯正(Kwak Noh-Jung)CEOは「AI向けメモリの供給不足は2030年代まで続く」と述べ、極めて強いメモリ半導体への需要を改めて市場に印象付けた。
 では、日本株のAIツルハシ銘柄の足元の調整はトレンドの転換を示唆するものなのだろうか。筆者のビューは「依然としてAIバブルはまだまだ中腹である」というものだ。天才起業家であるイーロン・マスク氏とOpenAIのサム・アルトマン氏がX上で激しい言葉の応酬を繰り広げていることからも分かる通り、覇権をかけた最先端のAIモデル開発、そして、その先のAGI(汎用人工知能)へのレースが激化の一途を辿っていることが窺える。

★イーロン・マスクとサム・アルトマンという2人の天才起業家がXで激しく応酬していた。
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2076181860779270513

★Apple社はメモリ価格の高騰による利益率の低下や、OpenAIが全く新しいAI時代のデバイスを生み出すことを恐れているのかもしれない。
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2075821749799956517

 筆者は先週、このAIバブルが過去の歴史的な巨大バブル(1990年代初頭の日本の土地バブル、2000年のドットコムバブル、2008年のGFC、現在進行中の中国不動産バブル)と比較して、現在「何合目」の地点にいるのかについて、GeminiやChatGPTの最上位モデルと徹底的な議論を交わした。さらに、メモリ半導体株の今後の行方についても多角的な予測を行い、それらの全「議事録」を現行最高峰と言われるClaudeのFable 5に読み込ませて、自身のビューを批判的に検証させた。
 最強の推論能力を持つFable 5は、筆者の要請通りに容赦のない論理的な批判や盲点をいくつも鋭く突いてきた。しかし、その高精度な反論を一つずつ検証し、すべてを呑み込んだ上でも、筆者自身は「現在のAI相場は『莫大な実利(キャッシュ)』と『米中の覇権争い(軍拡競争)』という最強の双発エンジンを備えており、ChatGPT登場からたかだか3年少々で崩壊するわけがない」というビューへの確信を、むしろより強固なものにすることとなった。我々はやはり、長期スーパーサイクルのまだ「中腹」にいるのだ。

★この白熱した「議事録」と、Fable 5による辛口な検証の全容はPDF化し、筆者のXの月額3ドルのサブスクリプションで限定公開している。スマホのXアプリから登録するとApple社に無駄な手数料をピンハネされてしまうため、ぜひスマホやPCの「Webブラウザ」からXのウェブサイトを開き、そこで直接サブスクリプションを登録してイーロン・マスク氏の宇宙開発を応援してほしい。https://x.com/kazu_fujisawa/status/2075118477493592406

●AIツルハシ株大暴落で相場が大逆流、今後もAIツルハシ株に乗り続けても良いのか!?(金融日記 Weekly 2026/6/26-2026/7/3)
https://www.kinyuunikki.com/market-commentary/20260705-MarketRotationAISelloff.html

●週刊金融日記 第738号 AI企業はトークン製造工場を建設してトークンを世界に売る簡単なビジネスです、他
https://www.kinyuunikki.com/newsletter/Vol738-20260707-AIAsATokenFactory.html

●日経平均は3日続落、6万7000円割れ AI・半導体株の調整継続
https://jp.reuters.com/markets/japan/CXO4DAWUCRLWFMJLEIU2BW46T4-2026-07-08/

●アリババが急反発 時価総額2兆香港ドルを回復、クラウド事業が市場を牽引
https://chinanews.jp/archives/35208

●イラン革命防衛隊、ホルムズ再封鎖を宣言 米軍はミサイル基地など空爆
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR120440S6A710C2000000/

●SKハイニックス、ナスダック上場 初値は公募価格14%上回る
https://jp.reuters.com/economy/74SAZXJH4JIWLNAD5OXTZNFM3A-2026-07-10/

●SKハイニックスCEO、メモリー不足は2030年代まで続くと予想
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-07-10/THZ6G0T96OSG00

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米個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/07/03-2026/07/10)

米個別銘柄の週間パフォーマンス

出所: Google Finance, Yahoo!Finance

香港個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/07/03-2026/07/10)

香港個別銘柄の週間パフォーマンス

出所: Google Finance, Yahoo!Finance

日本個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/07/03-2026/07/10)

日本個別銘柄の週間パフォーマンス

出所: 会社四季報、Yahoo!ファイナンス

直近1年の日経平均株価とインプライド・ボラティリティの推移

直近1年の日経平均株価とインプライド・ボラティリティの推移

出所: 日経新聞社

直近1年のドル円とユーロ円の推移

直近1年のドル円とユーロ円の推移

出所: セントラル短資

イールドカーブ (2026/07/10)

イールドカーブ

出所: Bloomberg.com

主要通貨の週間パフォーマンス (2026/07/03-2026/07/10)

主要通貨の週間パフォーマンス

出所: セントラル短資

直近1年のS&P500種指数と原油価格の推移

直近1年のS&P500種指数と原油価格の推移

出所: Yahoo!ファイナンス、Bloomberg.com

地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD] (2026/07/03-2026/07/10)

地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD]

出所: iShares, Bloomberg.com

今週のマーケット・イベント

7月13日(月)
米6月財政収支

7月14日(火)
日20年国債入札
米6月消費者物価指数(CPI)
米5月対米証券投資
決算:JPMorgan Chase、Citigroup、Bank of America、Goldman Sachs、Wells Fargo、他

7月15日(水)
日5月機械受注
日5月第三次産業活動指数
米6月生産者物価指数(PPI)
米7月ニューヨーク連銀製造業景気指数
中国4-6月期GDP
中国6月小売売上高
中国6月鉱工業生産指数
中国6月固定資産投資
決算:ASML、Johnson & Johnson、Morgan Stanley、BlackRock、他

7月16日(木)
米6月小売売上高
米7月フィラデルフィア連銀 製造業景気指数
決算:TSMC、Netflix、他

7月17日(金)
米6月輸出・輸入物価指数
米6月建設許可・住宅着工件数
米6月鉱工業生産指数
米6月設備稼働率

7月18日(土)

7月19日(日)

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